以前袖口がスカラップレースの替え袖を作りました。
袖口をスカラップにしたかったので、これは単衣仕立てで作ってます。
今回は、袷仕立てのいわゆる無双袖・・・風に作っていきます!
無双袖とは
表も裏も同じ生地で仕立てた、袷仕立ての一種。現在では主に袷の長襦袢の袖に用いられ、袖無双胴抜き仕立てが多い。
引用元:大久保信子「伝統を知り、今様に着る 着物の辞典」,池田書店,2018年8月,237p
袷の着物用の長襦袢であれば、ほとんどがこの無双仕立てになっていると思います。
袖口から袖の裏側も見えますので、裏側も生地のオモテが出る必要があります。
本来の無双仕立ての替え袖は、きちんと仕立て方が決まっているのですが、私は和裁はさっぱりわかりませんし、今回使いたい布は洋服用のもの・・・布のサイズも違います。
とりあず表裏両面とも生地のオモテが出る、二枚仕立てならOKということにして、無双風の替え袖を作っていきたいと思います!
私は単仕立ての以外は全部この作り方で替え袖を作っています!
必要材料
- 替え袖にしたい布(横:袖幅×2+縫い代2㎝以上 縦:袖丈×2+縫い代2㎝以上 を2枚)
- ミシン(手縫いでも作れます)
- 糸、ハサミ、定規など小道具
この作り方だと、和裁用として売られている布のサイズでは作れません。洋裁用の布を使った作り方になります。
作成図
今回の作成手順をざっくり図で表すとこのような感じ。
とにかく手間が少なく両面に生地の表が出ることだけを考えた簡易的な作り方です。
替え袖が見える部分は、袖口と振りのほんの少しの部分なので、そこさえクリアできればOKというスタンスです。
当然ですが、本来の作り方とは全く異なります・・・。
簡単に替え袖っぽいのを作りたい!という方向けです
作成手順
布の準備
替え袖にする布を準備します。
今回私が使用したのはこちら
日暮里繊維街の「フジカケ」さんというお店で購入しました。
ピーコック柄で透け感の強い布です。
今回この替え袖は、新しく買ったアンティーク着物の袖丈が長かったので、それ専用の替え袖として仕立てます。
夏着物なので本来であれば襦袢も単仕立てですが、この布は透け感が強いので、無双仕立てでも紗袷みたいで素敵なのではと思い、無双仕立てで作ります。
アンティーク着物は袖丈も袖幅もバラバラなので、大体専用の替え袖を作っています。
手間がかかりますが一回作ってしまえば着る時が楽です。
中表に折って端を縫う(袖幅を決める)
中表に折って、作りたい袖幅になる位置で縫っていきます。
本来であれば合わせる着物の袖幅-0.5 ㎝にするのですが、今回使っているこの布が透け感が強く、ピーコック柄の位置を表と裏で合わせたほうが綺麗になるだろうと思い、位置がぴったり合うように調整しました。
どうもこの布は32㎝でちょうどぴったり合うようです。
今回合わせる着物の袖幅が33,5㎝なので、少し短いのですが、この生地はかなり柔らかくて着るとき下に落ちてきますので、むしろちょっと短めの方がちょうどいいのでは?と思いそのまま32㎝でとりました。
まっすぐ縫っていきます。
縫えたら、縫い代をアイロンで割ります。
面倒ですが後に響くのでちゃんとアイロンで押さえます
割れたら裏返します。
裏返したら柄が合う位置に調整して・・・(調整する必要のない布であれば真ん中でOK)
アイロンできっちり押さえます。
この、縫い目のある側が表(外)になります。
縫い目が裏側(内側)にあると、袖口から見える可能性がわずかながらあるためです。
表側(外側)に縫い目を持ってくれば、着物で完全に隠れますので見える心配はありません。
ただ、合わせる着物が夏物で透ける場合、縫い目が透けてしまう可能性があります。
基本夏着物には単衣の替え袖を合わせますのでそのケースは少ないと思いますが、透ける可能性がある場合は縫い目を裏側(内側)にもってきましょう。
今回私が合わせたい着物は夏物のアンティーク。
透け感はそこまでないので大丈夫かと思いましたが、念のため縫い目を内側にしました。
端をもう片側の端に入れ込んで縫う(袖丈を決める)
次は袖丈を決めます。
これも合わせる着物の袖丈-0,5㎝になるようにします。
今回は65,5㎝でしたので、65㎝の長さになるようにします。
片側の端は内側に折りこみ、もう片側の端を中に入れ込みます。
折りこんで・・・
入れこむ
この時ゆとりがあると縫いやすいので、袖丈の縫い代は多めにとっておいた方がいいです。
長さを作りたい袖丈になるよう調整したら、待ち針で止めます。
縫うとき結構ずれますので、しっかり待ち針を打った方がいいです!
ここをまっすぐ縫っていきます。
縫っていったら・・・
出来ました。
派手に曲がっていますが、着たら見えないので気にしません。
縫ったところが下に来るように折って・・・
アイロンでしっかり押さえます。
袖口を縫い留める
合わせる着物の袖が何㎝のところで縫い留めてあるか測ります。
約22㎝でした。
替え袖は少し長めに、上(折山)から長さをとって、待ち針で留めて目印にします。
縦線の縫い目がある方が表です。この時間違えないように注意!
2本取りで何回かぐるぐる縫い付けて留めます。
本当は閂止めという方法があるみたいです。
留まりました。
両袖分留めます。
替え袖完成
替え袖が完成しました!
付け替えができるようにマジックテープをつけたい場合は、袖口スカラップ替え袖の記事をご覧ください。
着物に縫い付ける
前回、単のスカラップ替え袖を作ったときは、付け替えができるようにマジックテープを付けましたが、今回は専用の替え袖として作りましたので、着物の袖に直接縫い付けていきます。
縫い付けたい着物をひっくり返します。
今回縫い付ける着物は夏物の単衣仕立てですので裏地はありませんが、袖付けの部分は縫い代が割ってあるため二重になっています。
ここに替え袖を縫い付けていきます。
替え袖も裏返して着物の袖に被せ、袖付けの部分で固定します。
今回着物が夏物で透ける可能性があるので、写真では縫い目が内側になっていますが、本来は反対で縫い目が外側(着物に接する側)です。
縫い目が内側になっても袖口から見えることはほぼないと思うのであまり気にしなくてもいいと思いますが・・・。
袖付けの端のとこまで、待ち針で留めます。
真ん中だけ縫うと、着たときに替え袖が落ちてきてしまって、振りから見えなくなってしまうことがあるためです。
真ん中から両側に向けて縫っていきます。
2回に分けるので面倒ですが、真ん中から縫うことで真ん中がずれることを防ぎます。
この時着物の表に縫い目が出ないよう、折り返してある上1枚だけをすくって縫うように気を付けます。
私はこのように左手で持って、中指で針が出ていないか触って確認しながら縫っています。
縫い目は荒くて大丈夫です。
この布は柔らかくて落ちてきやすいので比較的細かめに縫っています。
端まで縫えました。
この端の部分は振りから見えますので、二針ほど返して見えないように玉止めします。
完成
裏返したら完成です。
振り側
袖口側。
すごく可愛くできました!
おわり
替え袖づくりは、作業工程はシンプルなものの、布は大きいし二枚作る必要があるので、そこそこ時間がかかり大変です。
しかし、好きな布を、サイズピッタリに替え袖にできるのはなんとも魅力。
専用替え袖はこの着物のためのもの、という特別感も出ますし、この着物に合う布はなんだろうって探すのも楽しいです。
なによりも一度作って縫い付けてしまえばもう袖のことを心配する必要がこの先無くなり、とても楽です。
縫い付けた着物を着る時は、襦袢にはき楽っくを袖を外して着ています!
筒袖の襦袢など、袖がないものを選べばOKです。
袖丈も裄もバラバラで襦袢どうしたらいいか困っている、という方は是非替え袖づくりやってみてください。